小林かいちのおすすめ見どころ

伊香保 保科美術館では国内初、小林かいち研究の第一人者である帝塚山学院大学教授「山田俊幸」氏と小林かいちのご遺族「小林嘉寿」氏の協力のもとに、当館収蔵品の中から200~300点を国内初・常設展示しております。

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作家紹介

小林かいち(こばやし かいち)
1896年ー1968年

京都友禅図案家で木版絵師、図案家であった小林かいちは近年まで性別・生没年・作品点数・私生活などが不明な幻のデザイン画家・謎の叙情版画家と称されていました。

1990年以降に開催された展覧会に出展された作品の中に小林かいちの作品も含まれ、そこから脚光を浴び始めました。
2007年10月1日より保科美術館で国内初の小林かいち常設展示室が開始されました。
その2か月後12月10日、小林かいちの遺族が名乗り出て見つかり本名や性別、生没年などは解明されながらも、正確な作品点数や私生活などの履歴はいまだにわからず、まだまだ謎の多い幻のデザイン画家とされております。

大正後期から昭和初期に、小林かいちの絵はがきや絵封筒は当時の若い女性から評判を得ました。京都京極三条の「さくら井屋」を版元に数多くの作品が売り出され、模倣品が出回るほどの人気を集めました。さらに1928年(昭和3年)発表の谷崎潤一郎の小説『卍』の文中には、かいちの絵封筒「桜らんぼ」「トランプ」の2作品に関する記述があります。

作品の画風はシンプルでシャープな線と面、印象的な色彩表現によるアール・デコ様式の装飾性を持ち「京都のアール・デコ」とも称されます。
モチーフはハート・月・星・薔薇・トランプ・十字架・女性などロマンティックなものがよく使われておりますが、当時の人気漫画やクロスワードパズル・歌謡曲など、大正末期の流行を取り入れたものも多くあります。

当時にはモダンと呼ばれた西洋的な様式やモチーフと日本的な雰囲気との調和は華やかな大正ロマンを感じさせますが、目鼻立ちが描かれていないにもかかわらず物憂げな心情を感じさせる女性像など、装飾性を持ちながらメランコリックな雰囲気を醸し出した作風には表現主義の影響が見てとれます。

しかし、昭和初期以降にはかいちの存在は少しずつ忘れ去られ、一部のアンティークのファンや絵はがきの収集家などの間でだけ認知されるようになってしまいました。

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